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元川 竜平; 成田 弘一*; 鈴木 伸一; 田中 幹也*; 矢板 毅
no journal, ,
白金族イオンの抽出分離では、イオンの内圏(第一配位圏)に配位子を直接相互作用させ、その錯体を分離する配位型抽出と、配位子が直接イオンに配位せずに第一配位圏の外側(外圏)でプロトン化などによりイオンの電荷を中和して、その複合体を分離するイオン対型抽出が用いられる。しかしながら、ロジウムの場合にはどちらの方法でもイオンを抽出することが難しく、抽出不活性なイオンとして認識されていた。ところが近年、N,N-二置換アミド化合物を抽出試薬として用いた場合にはロジウムクロロ錯体を効率的に抽出できることがわかってきた。そこでわれわれは、この抽出試薬のイオン認識機構を解明するため、SPring-8に設置されるX線吸収微細構造(XAFS)装置とX線小角散乱(SAXS)装置を用い、ロジウムの内圏(局所)における配位構造と外圏(中距離秩序)の観察を行った。XAFS測定では、N,N-二置換アミド化合物の有無にかかわらずロジウムのXAFSスペクトルに変化が生じないため、ロジウムクロロ錯体の内圏における配位構造は影響を受けないことがわかった。一方、SAXS法によりロジウムクロロ錯体とN,N-二置換アミド化合物の混合液を測定したところ、約2.0(nm)の波数に明瞭な小角散乱ピークが観測された。この結果は、ロジウムクロロ錯体とN,N-二置換アミド化合物がナノスケールの会合体を形成していることの証拠であり、外圏における相互作用がイオン認識に重要な影響を及ぼすことを示唆している。
佐々木 祐二
no journal, ,
MIDOA(メチルイミノビスジオクチルアセトアミド)は、骨格中心に窒素原子を持ち、その両端にアミド基を持つ化合物である。このため、金属イオンとの結合に窒素原子の影響が大きい。HSAB理論から、窒素ドナーはソフト配位原子とされ、ソフト金属との結合に強いと思われる。これまで、MIDOAはTc(Re)やPd等の金属と高い反応性を示すとされてきたが、その他の元素についても実験を行い性能を確かめた。その結果、MIDOAの場合、硝酸溶液からCr, Mo, W, Tc, Re, Pd, Au, Hg, Pu等の金属の分配比が高いことを確認した。
岡村 浩之; 平山 直紀*; 下条 晃司郎; 長縄 弘親; 井村 久則*
no journal, ,
金属イオンの抽出において、イオン液体(IL)を抽出媒体として用いた場合、イオン交換によって荷電錯体の抽出が有利になるだけでなく、無電荷錯体の抽出性も大幅に向上することがわかってきたが、溶液化学的にILの溶媒効果を研究した例は少ない。本研究では、Eu(III)キレートの抽出における[Cmim][TfN]の溶媒効果を明らかにすることを目的として、[Cmim][TfN]-水系において、2-テノイルトリフルオロアセトン(Htta)によるEu(III)の抽出平衡について調べた。さらに、時間分解レーザー励起蛍光分光法によって、水飽和の[Cmim][TfN]に溶解したEu(tta)(HO)錯体の溶媒和について研究した。[Cmim][TfN]系の抽出錯体は、水相中のtta濃度の増加とともに、Eu(tta)からEu(tta)へと変化した。log D-log[tta]プロットを解析し、Eu(tta)とEu(tta)のそれぞれの抽出定数K, K'を算出した。KからEu(tta)の分配定数(K)と生成定数()の積を求めて比較したところ、[Cmim][TfN]系の値は含酸素有機溶媒系と同様の高い値を示し、Eu(tta)と[Cmim][TfN]間の特異的な溶質-溶媒相互作用が示唆された。[Cmim][TfN]中でのEu(tta)の水和状態を調べるために、一連の[Cmim][TfN]を用いて蛍光寿命を測定し、水和数を算出した。水飽和の[Cmim][TfN]中では、Eu(tta)(HO)の配位水分子のほとんどが遊離していたことから、IL成分TfNによるEu(tta)への配位が示唆される。
下条 晃司郎; 中井 綾香; 岡村 浩之; 大橋 朗*; 長縄 弘親
no journal, ,
溶媒抽出法における目的物質の抽出分離効率は、使用する抽出剤が鍵となる。本研究では、新規抽出剤N, N-dioctyldiglycol amic acid (DODGAA)を開発し、さまざまな金属イオンからの鉛イオンの選択的抽出に関する検討及び工業用抽出剤との比較による性能評価を行った。その結果、DODGAAは工業用抽出剤より鉛イオンに対して高い抽出分離能を有することを見いだした。また、逆抽出も容易に可能であるため、抽出能の繰り返し利用ができることを確認した。